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西浦高校からそう遠くないコンビニで私はレジのバイトをしてる。もちろん学校から近いって事もあれば友達に会っちゃう事もあるだろうけど、シフトの時間帯を9〜10時と少し遅めにしてもらってるから誰かに会うという事は全然無かった。(ちゃんとそこまで計算してここのコンビニ選んだんだもんね!)(駅前のとこでも良かったんだけど、あっちの方が知り合いに会う確立が高そうだった・・・。) ・・・・・・のはずだったんだけど、この計画には少しばかりの盲点があった・・・。ちらりと時計を見れば9時30分、多分・・・そろそろ・・・。「来るかなあ」と思ったその時、表が少し騒がしくなる。あう・・・来た。 「田島は何食うー?」 「ん、俺ー?俺は甘いもん食いたい、ゲンミツに!」 そう、野球部。私は我が西浦高校野球部の存在をすっかり忘れていた。だってまさか9時過ぎまで学校残って練習してるとは思わなかったんだもの!しかも私のシフトの時間と野球部の帰宅時間がちょうどピッタリ重なってるみたいで帰宅途中の野球部メンバーがコンビニに寄ってくるのはもう毎日の事だ。 唯一の救いは野球部員に同じクラスの人がいないって事。確か1,3,7,9組だっけ、野球部がいるのって。私は8組だからちょうど7,9組がお隣さんだ。いくら同じ学校といえどクラスが違えばあんまり交流も無いもの(特に男女間なんて!) て言っても、まったく交流が無い訳じゃない。同中だったが9組って事もあって、たまに9組に遊びに行った際に見かけた事はあるけど・・・本当に「見たことはあるよ」って程度。 「お願いしまーす」 私がボーっと考え事をしてると部員さんのひとりが私のレジの前まで来た。(えと、確か水谷くん・・・だっけ?) てゆかアイスふたつって・・・水谷君って結構甘党?てゆか運動部がアイス二個食いとかして良いのかなあ。なんか・・・こう、プロテインとかをぐびぐび飲んで「アイスなんか食べると体脂肪率が!」とかなんとか言ってるイメージがあるんだよねえ、運動部って。まあそんなのは私の勝手なイメージなんだろうけど(だって運動部ってだけでアイスとかケーキが食べれなくなるんだったらこの世から運動部は消えてるはず) 「230円になります」 適当にレジを済ませて水谷君は「外で待ってんぞー!」て言って表に出てった。うん、やっぱりバレないものだ。そもそも面識が無いし、私だって少しメイクしてるからバレないんだなあ・・・。 なんて事を考えていたら次のお客様。この人はすぐわかる、だって有名人だもの!下の名前はしらないけど、田島くんだよね。まあ、有名人てゆのもあるけど、う・・・なんてゆか・・・、少し気になってた、り?ああ、話した事もない人を好きになるなんて漫画の中だけだと思ってたのに!まあ、向うは絶対に私のことは知らないと思うんだけど・・・。(だから、沢山いる田島くんのファンの一人。って感じかな?) 田島くんが「おねがいしまーすっ!」て言って手のひらを開くとバラバラと無造作に5,6個の小さなチョコがレジの上に広がる。えーっと、これって1個10円だよね・・・。「60円です」と言いながら小さなビニール袋を広げてその中に6個のチョコを入れて田島くんに渡す。『60円です』なんて凄い平静を装って言ってるけど実は、心臓がすっごいドクドク言ってて本当に、本当に緊張した。(だって目の前に田島くんてゆ時点でドキドキしてくる!) 田島くんから100円玉を受け取り、レジから40円を出して田島くんの手のひらの上に渡す。ああもう、40円のお釣りでさえ渡すのにドキドキだよ! もう田島くんの後ろにレジに並んでる人はいないから店長に頼まれてた商品棚の整理でもしようかな・・・、と思って田島くんのレジが済んだからレジを出て商品棚に向かおうとした時「あ、なあなあ!」と誰かに呼び止められた。(もしかしなくてもこの声って!) 振り向くとやっぱりそこには田島くんがいて、私の目の前に立ってさっき渡したレジ袋の中をガサガサと探っている。え、私なんかミスとかしちゃったかなあ!(よりによって田島くん相手に、) 私がわたわたしてるのを余所に田島くんは「ほい、やるよ!」と手を差し出してきた。状況が読めないまま取り合えず田島くんが差し出した右手の下に手を置く。すると、ころん。なんて効果音が付きそうな感じで私の手の中にさっき田島くんが買ったチョコがひとつ入ってくる。(・・・っ、え?) 「あ、あの・・・?」 「それやるよ!」 「や、あの、でもお金とかいろいろ・・・、そもそも知り合いじゃないで・・・す、よね?」 「ええ!、俺んこと知らねえの?」 「(・・・っ!田島くん私の事知ってくれてた!)や、知ってますけど・・・。」 「そか、なら良かった!バイト頑張れなー!」 にかっ!と効果音が付きそうなぐらいの笑顔で手を振って店の外に出行く田島くんを呆然と見送る。は・・・う、えあ、う?うん、今は何が起こったんだろう?頭がパンク状態でちゃんと整理して考えないと駄目だ、うん。私が呆然と突っ立てるとドアの前で田島くんが振り返り「ー!」とまた私の事を呼んだ。田島くんの方を見るとまた彼はあの笑顔でとてつもない爆弾発言をしてくれた 「俺、のこと結構好きかもしんねえ!」 一粒の恋の味 多分始まりはここから
2008'02.21.Thu |